内部統制は絶対か?
内部統制は絶対か?はい!と思わず言いたくなりますが、「会社のしくみ」という誰かが構築し、誰かが運用していますので、どこかで妥協しています。(言い過ぎか…)
「会社のルール上、1万円以上の経費は部長の事前承認が必要だけど、自分も部長も忙しいので、事後承認してみたら、それが常態化した」とか、
「決済は現金預金がうれしく、頑張ってカードを使用できるようにしたのに、今や電子マネーどころか仮想通貨での決済ができなければ市場で戦えない」とか
「きちんとしたしくみを作りたいという気持ちがはやり、慎重に検討せずに、現状からはメリットが少ない多額のIT投資をしてしまった」とか
「会議室を利用するためにはルールがあるにもかかわらず、ルールの不備をついて、会議室をセクハラの場にしてしまった」(すべて筆者の創作です。漫画かドラマか出てきたようなシチュエーションがあるかもしれませんが…)とか
しくみの隙もあるでしょうし、日常にかまけてしくみをないがしろにする運用もあるでしょう。当然といえば、当然です。
この点は、企業会計審議会の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」にも記載があります。筆者がこの「内部統制の限界」を学んだときは、監査論のテキストにかかれていました。
内部統制は、次のような固有の限界を有するため、その目的の達成にとって絶対的なものではないが、各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものである。
(1) 内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。
(2) 内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。
(3) 内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益との比較衡量が求められる。
(4) 経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある。
企業会計審議会の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」
筆者がこれを学んだときは、「当たり前やん」とは思えず、ただ単に記憶することに励んでいましたが、普遍的な事実を前提としてそこから導き出す方法、いわゆる演繹法的にフレームワーク化しているだけですので、当然といえば当然のことですよね。
じゃあ、「内部統制の限界」があるから、非違(リスクの顕在化)事例があるのは当然やんと思っているわけではありません。会社のしくみからこぼれ落ちるリスクをどうするのか、という議論が難しいと思います。よくある解決方法としては、研修教育だと思いますが…。
ここからの議論は宿題とさせていただきまして、今回の「内部統制の限界」はここまでとさせていただければ思います(^^)