「事業価値」、「企業価値」および「株主価値」についてちょっとわかる記事

はじめに

今回は、四季報なんかでもでてくる「時価総額」、それと混同しやすい概念の「事業価値」、「企業価値」、および「株主価値」について簡単に取り上げてみたいと思います。

価値の定義について

企業価値評価ガイドラインによると、「事業価値」、「企業価値」、および「株主価値」は次のように定義されています。

事業価値事業から創出される価値
企業価値事業価値に加えて、事業以外の非事業資産の価値を含めた企業全体の価値
株主価値企業価値から有利子負債等の他人資本を差し引いた株主に帰属する価値
株式価値特定の株主が保有する特定の株式の価値
例えば、ある株主が保有する普通株式又は種類株式の価値

企業価値評価ガイドラインは、日本公認会計士協会が公表しているものであり、「会計士が株式の価値を評価する場合の実施、報告について取りまとめたもの」でありますが、会計士以外の専門家が利用することを妨げているものではないとありますので、ファイナンスを理解されたい方にとっては一見の価値が十分あるものとなっています。

事業価値について

事業価値は、事業から創出される価値とありますが、定量的に測られるもので、事業から生み出される将来キャッシュ・フローの現在価値です。

計画できる期間の各年度の将来キャッシュ・フローの現在価値の合計額ということになります。

現在価値

ここで、同じ100万円でも今現在の価値と5年後の価値は同じか?ということについて考えてみたいと思います。

仮想通貨が円にとってかわり5年後に紙くずになるかもしれないなどの考えも世の中にはあるでしょうから、この質問では通貨が淘汰されることなく時間価値だけを考慮するなどといった一定の前提があります。

質問の答えになりますが、今現在の100万円の方が高いというものになります。今現在の100万円をほとんど利子がつかない普通預金としてでも預けておくだけでも5年後は100万円より高い普通預金残高になっていることは理解していただけることと思います。

その逆になりますが、現在価値とは、5年後の100万円を利子率(割引率)で割り戻し、現在時点の価値に計算したものになります。

例えば、利子率を0.1%とすると、100万円÷(1+0.001)※=995,014が現在価値になります。※は5乗

企業価値について

企業価値は、事業価値に加えて、事業以外の非事業資産の価値を含めた企業全体の価値です。

よって、

企業価値 = 事業価値 + 非事業資産

という計算式になります。

非事業資産は、事業の将来キャッシュ・フローを生み出すのに貢献しない資産のことをいい、遊休資産、余剰資金などがあります。

株主価値について

株主価値は、企業価値から有利子負債等の他人資本を差し引いた株主に帰属する価値です。

よって、

株主価値 = 企業価値 – 有利子負債

という計算式になります。

有利子負債は、金融機関からの借入金や社債のことをいいます。

ここで、株主価値は、株式価値ということもあり、時価総額(株価×発行済み株式総数)とイコールの関係にあります。

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