目次
はじめに
企業は、「ヒト・モノ・カネ・情報」から構成されていますが、そのうち「カネ」の分析を財務諸表分析といいます。
財務諸表分析は、主に収益性、流動性、生産性、成長性の観点から分析することになります。
(逆に言えば、チート的ですが、企業を分析するにあたり、収益性、流動性、生産性、成長性を定量的に説明できればよい、分析できればよいということになります。)
財務諸表分析に近い言葉として、経営分析、企業分析、財務分析などありますが、財務諸表分析は、経営分析の狭義的な意味としてとらえることがあれば、同義的な意味の場合もあります。前述の財務諸表分析は、「カネ」のみの分析といっていますので、狭義の意味となるように思えますが、個人的には狭義・同義には意味がないと思いますので、どちらにせよ下記の目的がある分析と考えてもらえればよいのではないかと思います。
経営分析は「健康診断」と例えられることもあり、企業内部で分析する場合は、主に事業計画を立案するため、企業の実態、課題や今後の方向性を明らかにすることが目的となっています。企業外部で分析する場合には、主に投資判断の材料となります。
財務諸表分析を行うことにより企業に対する仮説を立てることができ、それをヒアリング等を行うという検証を繰り返すことにより企業実態に近づくようになります。
財務諸表分析は糸口だね。
そこでは、財務諸表に関する財務情報だけでなく、非財務情報も利用することになります。具体的には、売上を計上にするにあたり、製品・サービス等ごとの詳細な情報が必要になってきます。
財務諸表
本題に入り前に、財務諸表のうち財務諸表分析に利用する「貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書」について簡単に確認したいと思います。
貸借対照表
貸借対照表は、一定時点の財政状態を明らかにする報告書のことをいいます。
財務(ファイナンス)の観点からは、資金をどのような源泉から調達し、どのように運用しているのかを表しているもといえます。
具体的に、資金調達の源泉を表しているのは、右側(貸方)の負債と資本です。
負債は、買掛金等は仕入先、未払金は様々ありますが人件費であれば従業員、固定資産購入代金分のものであれば購入先、代表的なものといえる借入金であれば金融機関からの源泉といえます。金融機関以外は、法的に金銭消費貸借契約を締結しているわけではないので、調達に違和感を覚えますが、将来的にキャッシュ・アウト(支払い)をしなければならないという意味では同じだと思っていただければいいんじゃないかなと思います。
資本は、現在株主からの払い込み、企業の累積した利益等があります。
※横道になります
企業の累積した利益等(内部留保)をため込みすぎだと批判されることがありますが、これは調達源泉なので、あくまでも運用を見なければならないかと思います。この調達のおかげで、例えば、固定資産投資が行うことができるわけでもあるので、日本経済に貢献しているわけです。
運用先に余剰資金があれば(N社は昔から有名だと思いますけど)、確かにため込みすぎかもしれないといえるかもしれません
資金運用は、左側(借方)の資産になります。
こちらも違和感があるかもしれませんが、現金を株式に投資するように、売掛金※1、未収入金※1、固定資産※2に資金を運用しています。
※1 同じイメージにはならないと思いますが将来的に現金化するものです。
※2 固定資産は現金化そのものではなく減価償却費を通じて…という説明もあるのですが大変わかりにくいため、財務諸表理論を学者並みに学ぶというわけでもなければ、株式投資するように…でもいいかもしれません。
よって、
貸借対照表の定義は、一定時点の資金調達源泉と資金運用形態を明らかにする報告書ともいえます。
損益計算書
損益計算書は、一定期間の経営成績を示す報告書です。貸借対照表がストック情報といわれるのに対し、損益計算書はフロー情報といわれます。
売上は、企業(事業)規模を示しますし、それ以降はその企業(事業)規模に関するコストを示したものです。
キャッシュ・フロー計算書
損益計算書が発生主義で作成される報告書であるのに対し、キャッシュ・フロー計算書は現金主義で作成される報告書です。
損益計算書と違って、キャッシュ・フロー計算書は営業活動、投資活動、財務活動という区分に着目します。
→つづき【企業の「利益を獲得する能力」の分析のまとめ-収益性分析-(前半)】