連結会計①イントラダクション: 公認会計士試験の会計学のメイン論点でしたが簿記検定2級の試験の範囲になり、試験でも実務でも最重要論点となっています。

連結会計ってなんですか?

会社1社だけでなく、複数の会社というグループ全体で1つの経済体としてみることだよ。

はじめに

今回は、連結会計の導入部分について取り上げたいと思います。2017年より日商簿記検定2級の試験範囲となりましたが、それ以前までは1級の試験範囲でした。連結会計というものが難しくても、それだけ重要性が高いということがわかります。

連結財務諸表を作成するにあたり、二つの考え方があります。それは「経済的単一体説」と「親会社説」です。

経済的単一体説」は、親会社も子会社も経済的に単一体であると考え、連結財務諸表は親会社株主のみならず企業集団を構成する親会社および子会社のすべての株主のために作成されるべきであるという考え方です。

相対する説は「親会社説」です。連結財務諸表は親会社のみために作成され、連結財務諸表は親会社の個別財務諸表の延長上にあるという考え方です。

「経済的単一体説」と「親会社説」という2つの考え方と現行の制度

2つの考え方がある中で、現行の制度は前者の「経済的単一体説」を採用しているのですが、どちらを採用するのかということで、連結財務諸表の各論点で会計処理が異なってくるのです。

どの子会社を連結するのかという「連結の範囲」という論点では、「経済的単一体説」の基では「支配基準」を、「親会社説」では「持株基準」を採用する(親和性が高い)ということになります。

例えば、試験の中でしかみたことはないので、極端な例かもしれませんが、持分0%連結という処理は「親会社説」では否定され、「経済的単一体説」ではありうるということになるのです。情報処理技術者試験でも出題されるぐらいに、現行の制度は「支配基準」をとっていることは周知されています。

【定義】持株基準は、親会社が直接・間接に議決権の保有割合のみにより子会社であるか否かの判定を行う基準であり、支配力基準は、親会社の議決権の保有割合だけでなく、資金提供、役員派遣などによってほかの会社を実質的に支配している否かを考慮し、子会社であるか否かの判定を行う基準のことです。

連結会計の重要性

企業経営が、グループ全体を視野に入れた経営判断を行う連結経営が加速しているといわれています。また、企業内容開示制度をみてみても、まず連結に関する情報が先にあり、親会社1社の個別に関する情報は連結の後にあり、連結情報が重視されています。

また、ずいぶん昔、日本では、連結財務諸表より個別財務諸表のほうがメインにされていた時期に親会社が子会社などを利用した利益操作された(粉飾)事例が相次いだことがありました。

連結財務諸表を作成するための大まかな流れ

ここでは誤解を恐れずにざっくりしますと、①連結の範囲に含めるとしたすべての会社の財務諸表を単純に合算し、②グループ内取引で発生している数字を消去という2つの工程に分けられます。①の数字は、グループ外からみると大きく膨れているため、②で膨らんでいるものを消去するのです。

おわりに(蛇足)

親会社の連結業務中に子会社の数字が修正されると親会社でも変更したり、海外子会社の円換算という論点があったり、親会社の決算日と子会社の決算日(一定の国は暦年決算のみ)という論点があったり、試験では試験問題に材料を用意してくれていますが、そもそも材料を用意することが大変だということもあります。

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