連結会計⑤簿記の総合問題では埋没覚悟でないと呼吸ができなくなる、利益剰余金に関連する「開始仕訳」について

開始仕訳って、
過年度の連結仕訳のPL科目を
期首利益剰余金に
変える処理ですよね?

そうそう。
実務では、
前期末利益剰余金と
当期首利益剰余金が
ずれることがよくあるのだけど、
それが正しい処理※なのか、
連結仕訳の処理が間違っているのか、
はたまたその混合の場合なのか
煩雑なんだよ。
連結仕訳の処理というのが
開始仕訳のことだね。

※非連結子会社が連結対象になったとき等

開始仕訳を定義からの説明

開始仕訳は、連結仕訳が簿外で行うことから必要な処理となり、過年度に行われた仕訳のうち当期の期首利益剰余金に影響を及ぼす仕訳変換した仕訳のことです。

広瀬義州「財務会計」より筆者が加筆したもの

以下では、定義の下線部分を順に考えてみたいと思います。

「過年度に行われた仕訳のうち」について

例えば、当期首が第3期目とすれば、第1期目、第2期目での仕訳のことを指します。

「当期の期首利益剰余金に影響を及ぼす仕訳」について

まだ当ブログで扱っていませんが、債権債務の消去は、ともにBS科目であるので、利益剰余金に影響をあたえません。

利益剰余金に影響を与えるということは、株主資本等変動計算書を思い出していただくとわかりやすいかと思いますが、当期純利益に影響を与えるものということになります。

そのため、連結会社間の取引、例えば、売上と仕入の消去についても、利益には影響しないので、開始仕訳の対象とならないのです。

開始仕訳の対象となるのは、PL科目とBS科目が混在した仕訳です。

例えば、のれんが発生していれば、のれんは償却するため、そののれんの償却仕訳は、PL科目とBS科目が混在した仕訳となります。

そのため、のれんの償却に関する仕訳は、開始仕訳の対象となるのです。

「…を変換した仕訳」について

BS科目はそのまま、PL科目を期首利益剰余金という勘定科目に変換するのです。

のれん償却仕訳で説明したいと思います。

前提としては、前期に1000発生し、5年償却するものとさせてください。

前期 (借方)のれん償却  200 / のれん  200

という連結仕訳があったとします。

当期において、それは開始仕訳の対象となり、前述のとおり変換すると

(借方)のれん償却期首利益剰余金  200 / のれん  200

となります。

もちろん当期分ののれん償却費として下記の仕訳はあります。

当期 (借方)のれん償却  200 / のれん  200

のれんの残高とのれん償却費から開始仕訳がないときの不都合さを考えてみる

上記の仕訳により、当期に関する、BS上ののれん、PL上ののれん償却費を考えると下記のようになります。

  • のれん(BS) 600(=1,000発生-2001年目-2002年目
  • のれん償却費 200

利益剰余金に過去分(1年目)ののれん償却費も反映していますといえますが、ここでは特に考えずに、のれんとのれん償却費のみを捉えてみてください。

仮に連結仕訳がなかったり、変換しなかったりを考えてみると、おかしなことになります。

(良いおかしな例が考えられなかったので、各自考えてみてください。のれんがずっと800になったり、のれんを重視するとのれん償却費が200ではなく400や600になったり不都合な結果になるかと思います)。

開始仕訳を簿記のシステムから説明

上記では定義から説明してみましたが、次は簿記のシステムを強調して、異なる説明を試みたいと思います。

重要なことは、連結財務諸表作成の過程は、個別財務諸表のそれとは異なります。

ここで、個別財務諸表の作成の過程を思い出してみましょう。

個別財務諸表は、仕訳を作成して、それを転記することにより総勘定元帳を作成します。

期中の仕訳を作成、決算整理仕訳を作成し、総勘定元帳に転記され、試算表の作成、そして個別財務諸表が作成されます。その後、総勘定元帳を繰り越して、翌期の期首残高が作成されます。

一方、連結財務諸表は、連結会社の単純合算を行い、連結仕訳を作成します。

ここで、個別財務諸表との違いがあります。個別財務諸表では、総勘定元帳というシステムがあるので、仕訳されたものはすべて翌期へ引き継がれるのですが、連結財務諸表では、連結精算表上で行われるため、仕訳の繰越が行われないのです。簿外で行われるという表現もあります。

繰越と同じ効果がある処理が必要になってくるのです。

ここからの説明は、繰越しをする仕訳として前述の「当期の期首利益剰余金に影響を及ぼす仕訳」となります。

繰越をしない仕訳として、簿記のシステムを強調するとどうなるかということを、債権債務の消去で示してみたいと思います(前述の説明を補強するぐらいで眺めてみてください)。

債権債務の消去をする理由としては、単純合算した数値に、連結会社間取引の結果として残っている債権(売掛金や未収入金等)と債務(買掛金や未払金等)が含まれ、内部取引分が膨れているから消去するというものです。

翌期の単純合算では、その債権債務の消去分の債権と債務はどのようになっているでしょうか?

個別財務諸表の中では、決済が終わっています(決済条件が会計期間以上となれば残っていますけど、それでも決済されていると考えて、新しいものが残っていると考えた方がいいかもしれません)。ということは、前期の債権債務の消去分の債権と債務は翌期の単純合算時点で残っていません。ということは、繰越をすべき仕訳ではないということになります。

おわりに

以上、いかがでしたでしょうか?

公認会計士試験の簿記において、BS上の利益剰余金に関する問題は埋没と決め込んで答えを出さないスタンスで臨んでいたような記憶が強いですが、開始仕訳は実務上でも結構煩雑な部類の論点なのです。

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