前回の記事【企業の「支払能力の分析」まとめ-安全性分析-】
目次
はじめに
財務諸表分析は、収益性、流動性、生産性、成長性の4つのカテゴリー分けができます。
今回は、生産性分析を取り上げたいと思います。
生産性とは、インプットに対するアウトプットの割合であり、生産性向上とは、例えばインプットの量が同じならアウトプットの量を増やすというものになります。
また、生産性というと、労働人口の減少により、生産性向上が叫ばれていますが、生産性をあげると、収益力に寄与したり、コストが減ったりするため、収益性が向上するのです。
よって、収益性分析でご紹介した指標で、トレンド(傾向)を分析することにより生産性を評価することもできると思いますが、今回は付加価値という点に重きを置きたいと思います。
付加価値とは?
付加価値とは、企業が新たに追加した価値のことです。
計算方法としては、2通りあります。どちらがより適切かということは言われていませんが、加算法は計算がわかりやすいと言われています。
- 加算法
- 控除法
加算法
加算法は、付加価値の構成要素を集計する方法です。
いくつかの方法がある中の日銀方式による計算式は次のとおりです。
付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
控除法
中小企業庁方式による計算式は次のとおりです。
付加価値 = 売上高 - 外部購入価値
付加価値を用いた指標
分子が付加価値の指標
まず、付加価値率と設備生産性という指標についてです。
ともに分子が付加価値となり、分母がそれぞれ売上高、有形固定資産になります。
付加価値率 = 付加価値 ÷ 売上高
企業が拡大すれば付加価値も大きくなるため、単純に企業間、時系列で金額を比べることに意味がない。そこで、付加価値をアウトプットである売上高で割った指標が機能すると考えられている。
なお、例えば、外注費が多い企業や産業においては、付加価値率は低くなることに留意する必要があります。逆にいえば、外注が少ない自社内で事が済む企業では付加価値率が高いということになります。
設備生産性 = 付加価値 ÷ 有形固定資産
この指標が高いほど、設備投資の効率が高いことを意味しています。
分母が従業員数の指標
計算式だけで説明を割愛させていただきますが、付加価値自体は使用しませんが、付加価値生産性の分解で用いる指標です。
1人当たり売上高=売上高÷従業員数
労働装備率=有形固定資産÷従業員数
付加価値生産性=付加価値÷従業員数
この「付加価値生産性」は従業員1人当たりの付加価値です。
この指標は、前述した指標で2通りの分解ができます。
分解は、分析するにあたり基本的な考え方となります。が、
筆者は、統計調査で付加価値をみた記憶はありますが、実務で分析自体したことがなく、試験対策で理解したまでということをいちおうお伝えさせていただきます(;・∀・)
売上高で分解
付加価値生産性=付加価値÷売上高×売上高÷従業員数=付加価値率×1人当たり売上高
有形固定資産で分解
付加価値生産性=付加価値÷有固×有固÷従業員数=設備生産性×労働装備率
有形固定資産の場合、さらに設備生産性×付加価値率×有形固定資産回転率という形で分解できます。
おわりに
以上です。
生産性分析では、付加価値の日銀方式の算出方法と照らし合わせて、従業員、金融機関、税務署などの生産性、分配が多い、少ないという点が問題になることが多いようなのですが、今回は定義までとさせていただきます。
機会があれば、分析事例の記事を作りたいと思いますので、ご愛読のほどよろしくお願いいたします!(執筆現在未作成です)
→続きの記事【企業の成長の跡を指標で確認する「成長性分析」】