前回の記事【インプットとアウトプットの関係を分析する「生産性分析】
目次
はじめに
財務諸表分析は、収益性、流動性、生産性、成長性の4つのカテゴリー分けができます。
今回は、成長性分析を取り上げたいと思います。
成長性分析とは、企業の規模が基準からどの程度変化しているかを調べることです。
今後の成長については、現在取り組んでいる営業の取組の進捗状況、研究開発の状況、プロダクトライフサイクルなどにより、どこまで過去の数値に反映しているのかによるかと思います。
あくまでもどのように成長してきたのかを確認し、全体的なバランスがとれているのかを分析するものです。
ここで、売上高のみに焦点をあてます。
例えば、×1年の売上を基準とし、×2年、…、×5年…の売上成長率を分析するのです。
売上成長率は以下の式で算出します。
売上成長率 = 売上増加額 ÷ 基準時点での売上高
×1年 | ×2年 | ×3年 | ×4年 | ×5年 | ×6年 | |
売上高(百万円) | 100 | 98 | 103 | 105 | 107 | 109 |
増加額(百万円) | – | -2 | 3 | 5 | 7 | 9 |
売上高成長率(%) | – | -2% | 3% | 5% | 7% | 9% |
売上高がほぼ横ばいという見方もできますし、毎年微増という見方もできます。
売上高のみからはトレンドはわかりますが、ひとつだけですとあまり意義のあるものにはなりにくいことが多いです。
成長性分析の指標
成長性分析の指標として用いるものとして、主に以下のようなものがあります。
- 売上高
- 総資産
- 従業員数
- 利益
- 営業キャッシュ・フロー
- 店舗数(店舗型事業の場合)
実在する指標でグラフをみてみよう
前述の指標で、実在する会社の成長率の表を作成しました。
成長率の計算式は、増加額÷基準の金額と前述の売上高成長率と同じものです。
金額を明かさず、計算した成長率のみを貼り、また、会計期もマスキングしていますので、どの会社かほぼわからないと思います。
それでも、万が一、わかってしまった場合、あなたの分析力というか知見には敬服いたします。
FY×1 | FY×2 | FY×3 | FY×4 | FY×5 | |
売上高成長率 | 0% | 28% | 68% | 101% | 132% |
経常利益成長率 | 0% | 30% | 86% | 72% | 94% |
当期純利益成長率 | 0% | 43% | 139% | 136% | 61% |
総資産額成長率 | 0% | 43% | 62% | 106% | 143% |
営業活動によるCF成長率 | 0% | 17% | 65% | 106% | 126% |
店舗数成長率 | 0% | 14% | 36% | 56% | 83% |
上の表をグラフにすると、以下のようになります。
グラフをみると、順調そのものの素晴らしい会社です。
最終年の売上成長率が100%を超えて、基準年のFY×1から2倍以上になっています。店舗自体も2倍近くにまで増やしている結果です。
総資産も売上とほぼ重なっているので、有形固定資産に対する投資も順調に行われているようです。
それ以外の指標もみてみると、当期純利益利益についてです。FY×3年で止まって下がっています。実は、減損損失を計上しているからなのですが、店舗が増加する中で、不採算店舗も増えてしまったようです。
このあたりでとどめさせていただきます。。
おわりに
成長性分析は、いくつかの指標を組み合わせることにより、特に効果が高まると思います。
今回は、期間の観点から簡単に分析をしましたが、同業他社もおくと何かがみえてくるかもしれません。